「14歳 日本語かっこいい」から始まったドイツ人の私が、N1合格を経て語学を仕事にするまで
実は先日、X(旧Twitter)で自分の日本語学習の経歴をポストしたところ、驚くほどたくさんの反響をいただきました。その内容がこちらです。
14歳 日本語かっこいい
15歳 ひらがな学習
16歳 埼玉に留学
17歳 日本語能力試験4級合格
18歳 日本語を専攻 大学入学
19歳 日本料理を作る
20歳 東京に留学
21歳 日本語能力試験2級合格
25歳 早稲田大学院入学
27歳 日本語能力試験1級合格
語学が仕事になるまで
「日本語かっこいい」という単純な動機から始まり、気がつけば語学が私の仕事になっていました。
このタイムラインを見ると順調に見えるかもしれませんが、N1(1級)に合格したのは27歳のとき。学習開始から実に13〜14年がかかっています。
この長い道のりの中で気づいた「語学学習の本質」について詳しく書きたいと思います。
27歳、N1合格時の衝撃。LinkedInでバズる
日本語能力試験1級(N1)に合格した27歳のとき、ビジネスSNSの「LinkedIn(リンクトイン)」で合格報告をしたところ、とんでもないことが起きました。
なんと、閲覧数20万回、いいね8,000件、コメント700件以上。
YouTubeやTwitterでも発信していますが、ドイツ語というニッチな分野なので、ここまでバズるとは思っていませんでした。
普段のYouTubeやTwitterとは桁違いの反応で、「おめでとう」という声だけでなく、「息子に日本語を習わせたい」「どうやって勉強したの?」という熱心なメッセージが世界中から殺到したのです。
この時、私は初めて「語学スキルが、単なる趣味を超えて社会的な信用(仕事)に繋がる瞬間」を肌で感じました。
31歳、ドイツ語 常勤講師に着任。Xでバズる
ドイツ語 常勤講師に着任した31歳のとき、SNSの「X」でツイート報告をしたところ、とんでもないことが起きました。
なんと、閲覧数200万回、いいね4,111件、リツート260件、コメント51件以上。
バズると、
たくさん反応をいただいて携帯がずっと鳴っていたため、コメントを全部読みきれませんでした。
ミス東大を目指している美女東大生にリツイートされて、感動しました!
長い学習期間で気づいた「先生の選び方」
14歳から学び始め、埼玉や東京への留学、大学での専攻を経て私が確信したメソッドがあります。
それは「学ぶ項目によって先生を変える」ということです。
発音・会話: ネイティブ(日本人)から学ぶべき。
文法・読解: あえて「ノンネイティブ(その言語を学習した人)」から学ぶべき。
例えば、日本人がドイツ語を学ぶ時、文法に関しては「日本の出版社が出している文法書」を読み、日本語で解説を受けたほうが圧倒的に早いです。
ネイティブは文法を感覚で使いこなしているため、「なぜそうなるのか」を初級者に論理的に説明するのが難しい場合があるからです。
ドイツ語を学びたい日本人に私がいつも伝えているのはこれです。
「まず、日本の出版社が出しているドイツ語の文法書を買ってください」
母語(日本語)で解説されている本を読むほうが、圧倒的に理解が早いです。大人は子供と違って理屈で理解したほうが早いので、ここで時間を短縮しましょう。
効率よく基礎(文法)を理解し、その分浮いた時間をネイティブとの会話に充てる。
これが私が見つけた近道でした。
早稲田大学院時代に克服した「英語コンプレックス」
25歳、早稲田大学院入学の時期。ここは私にとって大きな転換期でした。
それまでの私は、日本にいると見た目で「英語しか話せない人」だと思われ、街中で「Hello!」と声をかけられるのが苦痛でした。「私はドイツ人で日本語を勉強しているのに…」と、どこか拗ねていたんです。英語も当時はそこまで得意ではありませんでした。
しかし、早稲田の大学院(英語プログラム)に入ると、周りは日本語が話せない外国人ばかり。必然的に英語を使う環境になり、TOEICも890点近くまで伸びました。
英語ができるようになると、不思議なことに街中で「Hello!」と言われても平気になったんです。
「おじいちゃんたちは、私と仲良くしたいから挨拶してくれているだけなんだ」
そう素直に受け取れるようになり、郵便局やお店で英語で対応されそうになっても、笑顔で適当に返せる余裕が生まれました(笑)。
語学は「プロセス」。1年で結果を求めないで
Xのポストを見て「すごい」と言ってくださる方もいますが、見ての通り、私はN4合格からN1合格まで10年かかっています。
これから語学を学ぶ皆さんに伝えたいのは、「語学はプロセス(過程)である」ということです。
「1年以内にペラペラになりたい」「今年中に合格したい」と焦って詰め込むと、途中で疲れて辞めてしまいます。それは本当にもったいない。
モチベーションを10年以上保つコツは、勉強の中に「自分の好きなこと」を見つけることです。
私の場合は、最初は日本の小説でした。
その次はゲーム。『ポケモン』を日本語でプレイしました。当時はひらがなしか読めませんでしたが、ゲームならなんとか進められます。
「勉強」ではなく「楽しみ」の中に語学を混ぜること。
これが14歳から現在まで続けられた最大の理由です。
これと同じように、ドイツ語を学ぶ日本の皆さんにも、ぜひ教科書以外の「熱中できる教材」を見つけてほしいと思います。
「ドイツ語で何を楽しめばいいの?」と迷う方へ、いくつかのおすすめを提案させてください。
1. サッカー(ブンデスリーガ)で学ぶ
もしサッカー好きなら、これほどドイツ語学習に適した環境はありません。
ドイツのブンデスリーガには多くの日本人選手が在籍しています。
おすすめ: 好きなチームのInstagramやXをフォローする。「Tor(ゴール)」「Sieg(勝利)」など、短い単語から自然と覚えられます。また、試合後のインタビュー動画は、生きたドイツ語の宝庫です。
2. クラシック音楽・オペラのリリック(歌詞)
日本にはクラシック音楽ファンが多いですが、ドイツ語学習者にとっても強力な武器になります。
おすすめ: ベートーヴェンの『第九』やシューベルトの『魔王』など、知っている曲の歌詞をドイツ語原文で読んでみること。「あ、このメロディにはこんな意味があったんだ!」という発見が、単語の定着を助けます。
3. ボードゲームの説明書
実はドイツは「ボードゲーム大国」です。『カタン』など有名なゲームの多くはドイツ発祥です。
おすすめ: 日本語版も出ているゲームの「ドイツ語版の説明書」を読んでみること。ルールを知っているゲームなら、「サイコロを振る」「カードを引く」といった動詞が、辞書なしでも理解できるはずです。
4. 製菓・パン作りのレシピ
バウムクーヘンやシュトーレン、ドイツパンなど、ドイツの食文化に興味がある人も多いでしょう。
おすすめ: ドイツ語のレシピサイト(Chefkoch.deなど)を見てみること。「混ぜる」「焼く」などの動詞は料理をする人なら推測しやすいですし、何より「作りたい(食べたい)」という欲求は学習のモチベーションを最高に高めてくれます。
大切なのは「勉強」だと思わないこと
私がポケモンを遊んでいた時、「これは日本語の勉強だ」とは考えていませんでした。
「ただ、ゲームを進めたい」という一心でした。
皆さんも、ドイツ語の文法(特に格変化など!)に疲れた時は、教科書を閉じて、これらの「好きなこと」に逃げてください。
「好き」を通じて触れた言葉は、暗記しようとしなくても、記憶に残るものです。
リアルな「繋がり」が最強の教材
もう一つのおすすめは、勉強した言語を使う「リアルな場(仕事や友達)」を持つことです。
私がドイツ語を教えていた生徒さんに、オペラの先生がいました。
彼女はある時、ドイツ人の同業者と仕事のメールやり取りをする必要ができました。
すると、彼女の学習意欲は爆上がりしました。
「向こうからメールが来た!何て書いてあるの?」「どう返事すればいい?」
彼女は授業の前に必死でメールを読み解き、返信内容を考えてくるようになりました。教科書で学ぶよりも、**「自分に直接関わっていること」**だと、吸収スピードが段違いなんです。
でも、「日本にいてドイツ人の知り合いなんて作れないよ」と思いますよね?
実は、日本にいながら「リアルな場」を作るチャンスは意外と転がっています。
1. 「Stammtisch(シュタムティッシュ)」を探す
ドイツには「Stammtisch」という文化があります。これは居酒屋やカフェで決まったメンバーが集まる「常連会」のようなものですが、日本でも東京や大阪などの都市部では「日独交流シュタムティッシュ」が頻繁に開催されています。
ここには「日本語を話したいドイツ人」と「ドイツ語を話したい日本人」が集まります。お酒や食事を片手に交流するので、堅苦しい勉強会よりも友達ができやすいです。SNSやMeetupで探してみてください。
2. クリスマスマーケットとオクトーバーフェスト
日本でも定着している「クリスマスマーケット」や「オクトーバーフェスト」。
実はあそこ、ドイツ語学習者にとっては「実地研修の場」なんです。
お店のスタッフにはドイツ本国から来ている人も多くいます。ビールやソーセージを注文する時に、勇気を出して「Ein Bier, bitte!(ビールを1つお願いします)」と言ってみてください。
店員さんも母国語で話しかけられると嬉しいものです。そこからちょっとした会話が生まれることもあります。
3. 言語交換アプリを「目的を持って」使う
HelloTalkやTandemなどの言語交換アプリも有効ですが、コツがあります。ただ「こんにちは」と送るだけでは会話が続きません。
「私の書いたドイツ語の日記を添削してくれませんか?」
「あなたの街の今の写真を送ってくれませんか?」
と、具体的な目的を持ってアプローチすると、真剣な学習パートナー(友達)が見つかりやすいです。
4. LinkedInやXで「ドイツ語で」コメントする
私がLinkedInでバズったように、SNSは強力なツールです。
ドイツ語圏の人や企業の投稿に対して、短くてもいいのでドイツ語でコメントを書いてみましょう。
「Toll!(いいね!)」「Interessant!(面白い!)」だけでも構いません。
デジタル上ですが、これも立派な「リアルなやり取り」です。反応が返ってくれば、それが「もっと勉強したい」というモチベーションに変わります。
日本人は英語より〇〇語がおすすめ?
最後に、日本人の語学学習についても少し。
日本語と英語は言語としての距離が遠すぎて、日本人にとって英語習得は本当にハードルが高いです(ドイツ人と英語は近いのでまだ楽なのですが)。
もし「外国語を話せるようになりたい」と思うなら、韓国語をおすすめします。文法も似ていて学びやすいですし、飛行機ですぐに行けて、たくさんの友達が作れるかもしれません。
語学学習は1年や2年で終わるものではありません。
長い目で見て、モチベーションを落とさない工夫をすること。
これが、私がN1合格までの14年間で学んだ一番の秘訣です。
もし今、語学学習で伸び悩んでいる人がいたら、私のこの14年のタイムラインを思い出してください。
焦らなくて大丈夫。続けてさえいれば、必ず景色は変わります。
皆さんの「語学の旅」も、素晴らしいものになりますように!