ひろゆきさんの「ドイツ経済」にドイツ人が補足

ひろゆきさんの「ドイツ経済」にドイツ人が補足

ひろゆきさんの動画で「ドイツ経済」について語っていたので、今回はドイツ人の視点から少し補足してみようと思います。
日本とドイツでは、働き方、文化、日常生活の習慣がまるで違うので、現地からの情報も交えて解説します。

 

 

ドイツが経済大国になれた理由って?

ひろゆきさんの意見

ひろゆきさんは、ドイツが経済大国になれた理由として「集中」と「効率化」を挙げています。

日本だとコンビニの24時間営業が当たり前ですが、便利さの裏には利益率の低さという落とし穴があります。

例えば、同じエリアに24時間営業のコンビニが2つ並ぶと、互いに客を奪い合い、結果として両方の利益率が下がります。
従業員の給料もなかなか上がらない。
でも、もし一方の店舗が撤退すれば、残った方の店舗に売上が集中し、従業員数を倍にせずとも利益率は高くなるし、給料も上がります。

 

さらに営業時間を短くして、深夜は閉めた場合を考えてみましょう。
客は「深夜にコンビニ行かないと困る」と思って買い忘れません。事前に買うので売上はそれほど減らず、人件費や光熱費が削減され、結果的に利益率は上がります。

ヨーロッパの多くの国は、こうした「集中」と「効率化」を非常に重視しています。

日曜営業が一部認められている場合もありますが、ドイツでは徹底して日曜休業を守っているんです。

 

 

働かないことが生産性を上げる

日本では便利さのために24時間営業や長時間労働が常識になっていますが、結果として給料は上がらず、生産性も低い国民が生まれます。
一方で、どう働かないかを工夫するヨーロッパの国々は、生産性と利益率が高まります。

人手不足も同じです。日本ではネガティブに語られますが、実は人手不足は機械化や効率化を促すチャンス。
産業革命以降の歴史を振り返ると、イギリスは「人力から機械へ」の流れで繁栄しましたが、中国は人力依存のままで停滞しました。
介護分野でも、機械化を進めた方が社会全体にとって利益が大きいのでは!?

 

 

ドイツ人補足:ドイツの日曜休業とコンビニ事情

ドイツにはほとんどコンビニがありません。
そして日曜日は基本的に「働かない」という法律があります。
その背景には宗教文化があり、日曜は「教会に行く日」として商売が禁止されていました。
この伝統が今でも守られているんです。

 

例外もあります:

  • ガソリンスタンド → パンや軽食の販売はOK

  • パン屋 → 午前中だけ営業可能

  • 博物館やコンサート → 文化的施設は営業可能

 

そのため、金曜夜にまとめ買いする習慣が根付いています。
「24時間営業じゃなくても困らない」という文化ですね。

ちなみに、昔はスーパーが18時で閉店していました。
その後、フランスを見習って21時まで営業するスーパーが増えました。
最初はブーイングも多かったですが、働く人の生活に合わせて今では増えています。

 

 

労働者の権利がとにかく強い

ひろゆきさんの意見

ドイツでは、上場企業の取締役会に労働者代表の参加が法律で義務づけられています。
会社方針も労使双方の合意なしには決められません。

 

さらに、「つながらない権利」という法律があり、金曜夜から月曜朝までは上司が部下に連絡してはいけません。
休日に「仕事モード」に引き戻されるのを防ぐためです。

 

こうした制度があっても、ドイツはGDPで日本を追い抜きました。
人口は日本より少ないのに、効率よく大きな成果を出しています。
つまり「権利を認めた方が会社も社会もうまくいく」ことを証明しているんですね。

 

 

ドイツ人補足:有給・病気休暇・残業事情

ドイツでは有給が取りやすいのはもちろん、病気休暇も充実しています。
軽い風邪なら診断書も不要で、まずは家で休んで治すのが普通。
逆に、風邪をひいて出社したら「迷惑でしょ?」と言われるくらいです。

 

サービス残業もほぼありません。
契約で仕事の内容や時間が細かく決まっているので、上司が勝手に残業を命じるのは難しいです。
もし不当なことをすれば、労働保険に加入しているので裁判に発展。大抵は会社が負けます。

 

金曜夜から月曜朝までの連絡禁止も徹底されていて、メールも原則禁止。
もし休日に上司から連絡が来れば、パワハラ問題に発展することもあります。
アメリカ企業がドイツに進出すると、まずここでつまづくことが多いそうです。
解雇も簡単にはできないので「アメリカ式のスピード感でリストラ!」みたいなことは基本できず、ポーランドで人を雇ったり、ポーランドで会社を作ったりするのが多いみたいです。

 

 

日本の貧困化の理由

ひろゆきさんの意見

日本は「社会主義っぽい」傾向があり、成果を出しても評価されないことがあります。
優秀な人とサボる人の給料の差がほとんどないため、優秀な人もやる気をなくしてしまう。

 

資本主義の典型例は「ダメな会社は潰れる」仕組み。
例えばモトローラが衰退したとき、Googleが特許を買ってAndroid開発に活用 → 世界一普及するOSに。
日本は「ダメな会社が潰れない」仕組みなので、低賃金と低生産性が固定化されがちです。

 

ドイツは「効率」と「労働者の権利」を重視し、少ない人口でも大きな成果を出しています。
つまり「働かない仕組みを作ること」が、経済的成功の重要ポイントです。

 

 

ドイツのモラル

ひろゆきさんの意見

ドイツは後払い文化が浸透しており、ガソリンスタンドも後払いが多いです。
逃げようと思えばできるけど、誰もやらない。
改札ゲートもない。

 

ちなみに、ひろゆきさんは一度、フランクフルトの空港に行くときに捕まったことがあるそうです。
混んでいたので空いている席に座ったら、一等車両で・・・。
一等車両と二等車両の区別は結構厳格で、切符も別々です。
普通なら追加料金が必要で、無賃乗車と同じ扱いで罰金対象になりますが、実際、駅の事務所に連れて行かれ「罰金払え」と言われたそうですが、結局“次回から気をつけろよ”で終わったとのこと。

 

ドイツ人補足:

これもよくある誤解(笑)。確かに改札ゲートはなく、誰でもホームまで行けます。電車にもそのまま乗れてしまいます。

でも!車内でランダムにチェックが入り、無賃乗車がバレると即罰金。相場は50ユーロ(約1万円)前後。結構痛いです。
しかも今はオンライン購入が主流で、スマホのQRコードを提示する仕組み。切符を刻印する機械も一部残ってますが、コロナ以降はほとんど見なくなりました。

だから「運よくバレなければタダ乗り」も可能ではあるけど、リスクが高すぎて大抵の人はちゃんと買います。

 

また、ひろゆきさんが捕まった件について

ひろゆきさんのケースのように「知らなかった」観光客には、駅員さんが優しく注意で済ませることもあります。でもこれはかなりレア。ドイツ人だったら100%罰金です。
つまり、ひろゆきさんはかなり運が良かったパターン(笑)。

 

 

ドイツの静けさ

電車も静かで、改札はなく発車ベルも鳴らない。
車内で大声で話す人もほとんどいません。
夜10時以降の掃除や洗濯は禁止されていて、街中も静かです。

街中もすごい静かで、日本でよくある「キャー久しぶり〜!」みたいな大声の女子トークはほぼ皆無。

 

 

ドイツ人補足:文化の裏側

ドイツでは他人との距離を保つ文化が徹底されています:

 

  • 子どもへの声かけは厳禁
     日本だと「かわいいね」とか「いくつなの?」と知らない子に話しかけることがありますが、ドイツで同じことをすると即アウト。特に知らない男性が子どもに近づくと、周囲の女性たちが一斉に警戒します。「危ない人では?」という目で見られるくらい敏感です。子ども自身も「知らない大人には絶対話しかけない」と家庭や学校で徹底的に教え込まれています。

  • 通勤・公共の場では会話を避ける
     電車やバスの中では基本的に無言。必要以上に隣の人と話すことはありません。会話する場合も小声で、周囲に迷惑をかけないのが常識です。

  • 紹介がなければ他人と親しくならない
     「初対面でもすぐに友達!」というノリはあまりなく、きちんと紹介やきっかけがない限り、プライベートに踏み込むことは少ないです。距離感を保つのが礼儀、という考え方なんですね。

  • 例外はサッカー!
     ただし例外もあって、サッカー観戦の時だけは別。普段は無口なドイツ人が、スタジアムやパブで知らない人と肩を組んで大声で盛り上がることも珍しくありません。静と動のギャップが激しいのも面白いところです。

 

ドイツの「他人と話さない文化」は「冷たい」のではなく「相手のプライバシーを尊重する」っていう考えに基づいているんです。
日本の「お互いに空気を読む」文化と似ている部分もありますが、ドイツはそれをもっと法律や社会ルールレベルまで徹底してる感じです。

 

 

まとめ

ドイツ経済の強さは「効率化」と「働かない仕組み」にあります。
法律や文化がしっかりしているおかげで、少ない労働時間でも高い生産性を出せます。

日本は便利さを優先しすぎた結果、低賃金・長時間労働になりがちですが、ドイツのように「働かない仕組み」をうまく作れれば、生産性も社会全体の幸福度も高まるかもしれません。

 

Maxie Pickert

【講師紹介】Pickert Maxie(ピカット マキシー)

ボン大学、早稲田大学院卒業。14歳の時にドイツ語に訳された村上春樹の小説に出会い、日本に憧れる。16歳で、埼玉県の高校の1年間の交換留学プログラムを利用して初来日し、早稲田大学・大学院で日本語の勉強を継続。日本でドイツ語を勉強している人を手伝いたいという思いから、YouTubeチャンネルやTwitterを通じて定期的にドイツ・ドイツ語に関する情報発信している。

日本語能力試験1級 TOEIC 890

https://www.german-interpretation.com
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